大切な思い出と、音と風が共存する、リノベーションだからこそ実現できた2世帯の思い出空間

Story #02

大切な思い出と、音と風が共存する、リノベーションだからこそ実現できた2世帯の思い出空間

愛知県東海市 I様

I様とのもともとの出会いは、娘様からいただいたお問い合わせでした。
転勤族だった娘様ご夫婦がやっと落ち着いて暮らせるとのことで、お母様と一緒に暮らすため二世帯住宅を建てたいとのこと。

その場所には、お母様と奥様が子供の頃から住まわれていた思い出の詰まった住宅がありました。

新築か?リノベーションか?

当初いただいていたご要望は、今の家を全て解体し、一から新築住宅を建てたい、というものでした。

しかし、ご家族みなさまとしっかり話し合うため、一度お伺いしてお母様も交えてお話しさせていただいたところ、なんだかお母様が寂しそうなご様子。
お父様はすでにお亡くなりになり、お母様お一人でお住まいではありましたが、お母様にとってはお父様と過ごした大事な家です。

壊したくないとはっきりおっしゃていたわけではありませんが、「思い出の詰まった家を取り壊すことに抵抗があるのでは」と考え、
当初予定していた更地からの新築住宅ではなく、現在の住宅を二世帯住宅へ変身させるリノベーションをご提案しました。

いままでの家族の記憶を残しつつ、これからの家族の記憶も詰め込んでいける。
そんなコンセプトのご提案をしたところ、新築住宅をご希望だった娘様にもご賛同いただき、さっそくこの計画がはじまりました。

「思い出を活かす」リノベーション
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「これからの思い出を残していく」二世帯住宅

リノベーション×二世帯住宅、という掛け合わせのチャレンジです。

まずは、二世帯住宅のスタイルについて。

どの程度空間を分離するのか?
プライバシーの確保はどこから?
共同の空間はどのくらい用意するか?

それぞれの生活スタイルをお伺いした上で、いろいろなご提案をさせていただきました。

今回はご主人様(お施主様のご主人)が”お婿さん”のため、きちんと設計しないと、もっとも肩身が狭くなってしまう立場です。
村瀬とご家族全員でテーブルを囲み、何度も何度も話し合いを重ねました。

しかし、それでも、実際に暮らしてみないとわからないことも多いものですね。
当時ちょうど近場に手頃な賃貸が空いたため、お試しで同居生活を始められたI様ご家族ですが、そこでの生活で、追加のご要望やご意見がたくさん出てきました。

二世帯住宅をお考えの方には、お試しいただく価値はあるかもしれません。

もともとの住宅は部屋数が多く、延床面積の広いゆったりとした住宅でした。

広いがゆえ均質的な空間であり、使用していない部屋があったりと、古めかしさが残っている印象でした。

壁を抜き1つの大きな空間にすることで、使っていない部屋を有効活用したり、部屋の性格を明確化することで、生活にリズムができるような案をご提案しました。

ご主人様好みの「コンクリート打ちっ放し」と、お母様好みの「漆喰」の掛け合わせも盛り込んでいます。

コンクリート打ちっ放しは寒さや暑さの影響を受けやすいため、ご高齢のお母様にご負担がかからないよう、断熱処理にもこだわりました。

リノベーションの良さをふんだんに詰め込んだ、特別な空間に

今回はまさに、リノベーションだからこそ、実現した住宅といえます。

お互いのプライバシーを尊重しつつ、お母様とお施主様ご家族とのほどよい距離感を補完できる動線を備えた立体的な空間構成になっています。

築40年を経ていた住宅ですが、外壁・屋根の修繕や構造体を耐震補強し、全ての設備・ラインを新設したため、住む機能としては新築の注文住宅と変わらないベースとなっています。

お施主様は以前されていたピアノ教室を再開され、気持ちのいい音と風が流れる、思い出と共存できる空間となりました。

時間によって、居心地の良い空間を探す、つくる

そんな生活スタイルを構築する空間に仕上がっています。