設計のコツを知ると、家づくりがもっと楽しくなる [3]設計監理(工事)編

コラム

初めて家づくりをする方にとって、家づくりは「わからないことだらけ」ではないでしょうか。資金計画に始まり、土地探しや間取り、デザイン、家具、照明などなど、家づくりには考え、選択しなければならないことが多くあります。ひとつひとつのステップを納得して進めていくためには、そしてそのプロセスの不安を解消するためには、どうしたらいいのでしょうか。

 

家づくりのよくある質問や疑問に対して、村瀬充アトリエ代表・村瀬さんがどう考えているのか答えていただき、それをまとめました。設計のコツやタネ、ヒントについて紹介していきたいと思います。設計のコツを少しでも知ることができれば、何から考えればいいのか、どのように行動していけばいいのか、ステップが見えてくると思います。

 

今日は、設計監理(工事)についてお話します。

 

 

 

家づくりの流れを見ていると、「設計」「設計監理」という言葉を目にすることがありますね。
「設計」は、なじみのある言葉で図面を描くことなのかな、というイメージが湧きますが、「設計監理」はどうでしょうか。村瀬さんに「設計監理」について伺いました。

 

 

そもそも「設計監理」とは何ですか?

“設計図書(平面図や立面図、断面図などの設計図や、仕様書のことを指します)、仕様書等通りの施工、指定材料・品が搬入、使用されているかのチェックのほか、工程通りに工事が進んでいるかの工程チェック、現場でのお施主様のご要望による、設計図書で決めた以外の設計変更に伴う調整(施工方法、スケジュール、コスト等)について打ち合わせや指示を行う業務です。”

 

設計をして監理(チェック・調整・指示)をすることで、着工できるんですね。設計監理の仕事がなければ、工事を進めることができない、とても重要な業務だということが分かりました。図面だけでは伝わりにくいことを現場の協力業者さんたちに伝える大事な業務なんですね。

 

 

 

お施主様とはLINEなどで現場の状況を連絡するそうですが、どれくらいの頻度で、どのような内容を連絡してもらえるのですか?


“定例会議や現場状況を確認に、週1回以上、現場に行きますのでその都度、進捗状況を報告しております。

基礎工事(杭施工、配筋組み上がり、コンクリート打設時)や、建て方、屋根、内部造作等の、建築をつくっていく段階で、目に見えなくなってくる工程に関して、特に頻繁に、進捗状況や完了時に、写真にてご報告をしております。

また、事前に施工報告書や施工図、仕様書、材料証明書を工事会社さんから提出していただき、チェックした後、お施主様に提出しております。”

密に連絡をいただけるのが安心できますね。
例えば、コンクリート打設時の数値の記録、画像のほか、必要な場合は天候や養生方法も報告されているそうです。天候・養生によってはコンクリートの硬化の状況が変わってくるので、そのように連絡されているそうです。コンクリート打設の強度試験として、サンプリング時の値の結果の報告もあるそうです。

完成時には見えなくなる部分に関しても、報告があります。工事に携わる協力業者さんたちの姿勢が、施工の品質に現れてくると思うので、自信をもって見せていただけるのは、信頼できますね。

また、施工報告書なども、村瀬さんという建築の専門家のチェックをしていただけるので、安心して家づくりをお任せできると思いました。

 

 

定例会議はどのようなことが話合われるのでしょうか?

  • 工程の進捗状況について
    3週間工程の提出(1週間前の事項、現況、1週間後の事項により、工事項目の把握をします)の確認
    工事内容の質疑(納まりや、材料に関して、サンプル品を観ての再確認等)
  • 基礎工事の時(鉄筋の定着方法や納まり方法の施工方法の検討、設備の補強方法の仕様など)
  • 造作工事の時(壁と天井の納め方、関節照明部分の納まり、照明器具の位置、ニッチの高さや台の仕様など)

 

工程によって、細かく確認事項があることが分かりました。お施主様の思い描く暮らし方に合わせて、家をつくり上げていくのですね。

 

 

 

お施主様は現場に行って、見ても良いでしょうか?

“ぜひとも足を運んでいただき、協力業者さんとお話をしていただき、お施主様アピールをしてほしいです。(差し入れもお願いできれば幸いです。)
また、現場を見ていただき、気になる点や、分からない点などご質問がありましたら教えてください。建築工事のプロセスはだんだんと見えなくなっていきますので、不安なことや、ご要望等ありましたら教えてください。早急に、対応いたします。情報は腐ると考えておりますので、早急に対応することをモットーにしています。”

 

お施主様の中には、現場へ行くことは、協力業者さんたちや職人さんたちの邪魔になるのではないかと、二の足を踏んでいる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、こうやって言っていただくと行きやすいですね。

せっかくの自分たちの特別な家ですから、さまざまな工程や作業の様子を見て、工程が順序良く進む様子や部屋の景色が変わっていく様子を見ておくのも良いですね。また、協力業者さんたちに感謝の気持ちを伝えることも大切だと感じました。

 


どのようなことに注意して現場へ行けば良いでしょうか?

“それぞれの工程によって、その部分をピンポイントに、例えば、造作工事であれば、造作に関してニッチの位置や、カウンターの位置や大きさなど、使い勝手を確認してください。
また、分からないことは、協力業者さんに聞いて、皆さんと仲良くなってください。いつもお願いしている協力業者さんは、気さくな方ばかりで、いろいろと話をしてくださいます。面白い話ももちろんあります。”

その工程において、どのような工事がされているのかを理解した上で、生活を具体的にイメージしながら見ていくこと、そして協力業者さんたちにも聞いてみることが良いのですね。

 


しかし、工事が進み、図面が目に見えるカタチになっていくと、今まで想像していたものとの違いや新たなイメージが湧いてくることもありそうです。「こうしておけば良かった…」と思うところもありそうですよね。そのような場合についても対応を伺いました。

 

棚板やコンセントの取付位置の変更について

“棚板やコンセント等、取付た後での位置変更が時折あります。現場現物主義でお施主様とひとつづつ確認を繰り返しますが、取り付けてから気づくことも多く、内容を再確認し、デザイン性、利便性等問題がなければ、申し訳ないですが、監督さんや職人さんに説明をして是正をしていただいております。基本、間に合うのであれば、是正を行っております。”

どこに棚を付けるのか、コンセントはこの場所で十分なのかなど、どれだけ検討していても、気づくことができない場合もありますので、上記のように対応してもらえるととても安心できますね。当然、取付位置の確認は現場でもありますので、自分たちのしたい暮らし方を想定し、楽しみながら家づくりを進めることができます。

 

 

 

設計監理の仕事で、村瀬さんが大切にされていることは何ですか?

“品質の良い、真心の詰まった建物をつくるために心がけているのは、現場の協力業者さんとの対話です。また、お施主様の満足感(設計図書通りか、変更に対する対応等)も大切にしています。”

図面だけでは分かりにくいこと・伝わりにくいことを、対話を通して現場の協力業者さんたちにしっかり伝えていただけることが分かりました。現場との対話があるからこそ、お施主様の想いが反映された、満足度の高い家をつくることができるのだと思います。

 

 

 

後悔のない家づくりにするため、どのようなことに注意して検討したら良いでしょうか?

“設計図書では分かり難かったり、現場で分かったり(把握できる)することがありますので、設計図書をベースとして、必ず現場で再度、お施主様を始め協力業者さんと検証を行い、最良な仕様、場所等を決定するようにしております。気になることは、直ぐに、話ができる環境が大切だと思います。”

 

自身が長く暮らす家だからこそ、お施主様自身でしっかり自分の目で見て、納得のいくまで質問・確認することが大切なのだと思いました。村瀬さんが対話を大切にされているのと同じように、自分たちの家づくりですから、対話やコミュニケーションを取って、より良い家づくりにお施主様自身も参加することも良いですね。

 

 


 

今日は設計監理(工事)編をお届けしました。

村瀬さんとお話ししていると、純粋に家づくりがもっと楽しくなると感じます。理想の住まいでの暮らし方も、今以上に具体的にを想像できるのではないでしょうか。設計のコツやタネ、ヒントについて知ることで、あなただけの家づくりを心から楽しんでほしいと思います。

上記以外にも村瀬さんに聞いてみたいこと、相談してみたいことなどございましたら、お気軽にこちらから、問い合わせてみてくださいね。
よくいただくご質問」にもQ&Aが掲載されているので、参考にしてください。